放射線の胚への影響

東日本太平洋沖大地震による福島第一原子力発電所事故により、ごく微量の放射線が首都圏まで届いているようです。そこで気になるのは体外受精時の胚への影響です。
放射線に関しては専門外なので、インターネット検索による情報からまとめています。


ICRP(国際放射線防護委員会)によるガイドラインの日本語訳がある。

医療における放射線防護 http://www.icrp.org/docs/P105_Japanese.pdf
「胚発生の着床前期における照射の致死的影響に対する胚の感受性がある。100mGy(ミリグレイ)以下の線量ではこの致死的影響は非常に稀であり、出生後に健康への有意なリスクが現れるとは考えにくい。」

Gy(グレイ)はよく医療現場(がんに対する放射線治療放射線技師の被ばく量)でよくみる単位だが、メディアではシーベルトという単位がよく使用されているようだ。わかりにくいので単位を変換しよう。



以下ウィキペディアより、
「物質が放射線に照射されたとき、物質の吸収線量を示す単位がグレイ(記号Gy。定義J/kg)である。生体(人体)が放射線を受けた場合の影響は、受けた放射線の種類(アルファ線ガンマ線など)によって異なるので、吸収線量値(グレイ)に放射線の種類ごとに定められた放射線荷重係数を乗じて線量当量(シーベルト)を算出する。」

また、埼玉県のホームページより http://www.pref.saitama.jp/page/housyasenryou.html
平成23年3月17日現在の埼玉県の放射線量は1時間当たり0.06マイクロシーベルトで一日を通してほぼ一定。

放射線荷重係数を1-20とすると0.003-0.06マイクログレイとなる。上記のガイドラインからは100000マイクログレイ以下では胚が死滅することはないとしている(胚が子宮内にいる状態で体外からの被ばく量)。そして体外受精中の胚は培養液やミネラルオイルにつつまれており、外気に触れるようなことはまずない。



結論:当然ですが、今現在報道されている放射線量では全く影響ありません。体外受精を中止する必要もありません。冷静に対応しましょう。
(平成23年3月17日埼玉県内での計算結果です。他の日や他地域では状況が異なる場合があります。)